デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 15    第15話 「死闘」
For:
2007.12.30 Sun.
「こんな形で囲まれると思いませんでした」
積山が断罪の槍を抜きながら言った。
続ける。
「1体ずつ攻撃して林の外にだして辻鷹くんに狙撃してもらいましょう。半分は援護です」
「了解だ」
嶋川はすぐに納得して炎撃刃を抜いた。
 
積山・ギルが右から、和西・ゴマモンが左から同時に攻撃した。腕と翼を切り離す。他のネオデビモンは空気の銃弾と炎に阻まれた。
辻鷹はライフル脇のグリップを操作して威力を底上げした。
「ガブモン、しっかり押えててよ」
照準器だけで林の外に吹き飛ばされたネオデビモンの頭部に狙いをつけた。
「あいたたたたた・・・」
凄まじい音と衝撃が辻鷹・ガブモンにかかる。冷気の塊がまっすぐ飛んで行きネオデビモンの頭に命中。
周りの水分を氷結させできた氷の槍がネオデビモンを貫いた。
「?」
ゴマモンはネオデビモンが消滅する寸前何か後ろに影があることに気がついた。
しかし追い込まれたもう1体の相手をするうちに忘れてしまった。
その一体も頭部を撃ち抜かれる。
 
 
 
数分後・・・
辻鷹のケータイが鳴った。
「えっ!?どこ?どこ?」
辻鷹は体中のポケットを探り、ようやく見つけるとボタンを押した。
「もしもし?あっ嶋川くん?」
「よっ、大丈夫か?全部片付いたからお前も早く来い」
一方的に通話が断ち切られた。
いつものことだ。
辻鷹はやれやれとケータイをしまう。
ライフルを分解しながらガブモンに言った。
「ありがとね」
「こっちこそ」
辻鷹は銃をホルダーに戻すとガブモンと川に下りていった。
 
 
林の中ではテイマー4人とパートナーが適当な所にいた。
「あぶねー、マジで死ぬかと思った」
嶋川が首をコキコキと動かしながら言った。
谷川もひざをさすって
「今さら足が震えてきたよ・・・」。
積山はD-ギャザーをいじっていた。
「・・・ヒビがない・・」
「見間違いじゃねえの?」
ギルがとなりから覗き込んだ。
「・・・・ケガ、直るの早いな・・・・」
積山はあぁそうだった、という顔をして額をさすった。
肩をすくめて、
「すっごく痛いんだけどね」
谷川はホークモンから枝と泥をはずしていたが急に大声を出した。
「あぁぁーー!!!」
すると土手を降りてきた辻鷹は驚いて足を踏み外した。
谷川は服の泥をはたく、
「大事な服なのに・・・」
アグモンは再び寝そべって
「なんだ・・・服ぐらいで大声出すなよ・・・」
とつぶやいた。
「バカー!うるさいなー、これしかないんだもんっ」
谷川はホークモンを放して上着を脱いだ。
「誰がバカだ?あ?誰が間抜だって?」
「・・・そこまで言ってないもん」
和西は芝生の上に寝転がっていた。
ため息をつく。
「今回ばかりは疲れましたねぇ」
積山が木にもたれかかって言った。
和西は苦笑して「まぁね」と答えた。
しばらく黙って和西は
「もう5人そろったね」
そう言った。
積山はそうですね、とつぶやいた後、
「君がいつかに見た夢の順番に。ってすごいじゃない?」
ゴマモンがは
「やばいぐらいピッタリ言い当てたねぇ」
ギルも半分興味なさげに
「でまかせかと思ったんだけどな」
と言った。
 
「後5人もいるんだ、・・・想像つかないよね」
谷川がとなりで寝そべった嶋川に言った。
「しらね」
一言だけ言うと嶋川は起き上がった。
「なぁ和西、お前何かいい名前とかおもいつかないか?」
和西は頭だけ起こして怪訝な顔を見せた。
辻鷹とガブモンがやってきて、
「ようするにチーム名みたいなの?」
と尋ねた。
「チーム名ねぇ・・・」
ゴマモンはあたりを転がり始めた。
 
そうだねぇとつぶやくながら和西は少し考えると、
「十闘神、とかは?僕とゴマモンで『水の大賢人』、みたいに銘を持ったテイマーが十人、みたいな」
しばらく川の水が流れる音だけが聞こえた。
「ま、今、ふと思いついたんだけどね」
和西は照れくさそうに、首筋をかいた。
辻鷹はその場に腰を下ろし、
「ぼくは・・・いいと思うんだけど」
そして谷川も
「うん!賛成っ。なんかカッコイイしね!」
と笑顔で言った。
「お前どうなんだ?」
アグモンが嶋川の背中をつついた。谷川は無理やり嶋川の視界に倒れこむと
「文句ある?」
声に出さずに笑いながら言った。
嶋川は上を向いて、
「ねぇ」
とだけ言った。
積山はギルと目を合わせた。
「ない?」
「ない」
2人は同時に言い、積山は見回してから、
「異議なしですね」
と和西に伝えた。
「ホントに思い付きだったんだけどね」
苦笑しながら和西は立ち上がった。
 
 
和西達と別れた嶋川、アグモン・谷川、ホークモンは歩道、屋根の上をそれぞれ歩いていた。
「あーんもう!草だらけだよ」
長い髪の毛を解いてくしを通しながら歩く谷川に嶋川はとりあえず聞いてみた。
「お前、林の中で何か黒いものに助けられなかったか・・・?」
谷川は真剣な表情をし、何も言わずくしを通し続けた。
しばらくしてくしをしまうと谷川は口にくわえていたヒモを手にとってうなずいた。
「やっぱりそうか・・・」
嶋川もつられて真剣な表情で腕組みをした。
ネオデビモンの首だけを体から無数に生えた鎌で的確に狩る黒い影の姿がうっすらと脳裏に焼きついていた。
「なんか・・うまくいえないけど、冷たい感じが・・・した」
嶋川はうつむいて立ち止まった谷川を追い抜いてしまった。
 
 
「どう思う?」
アグモン、ホークモンも自然に足が止まる。
「どう思うも何も・・・雰囲気的にはあまりいい感じじゃなかったがな」
ホークモンは首をひねると谷川、嶋川を見下ろした。
「計は・・・どう思ってるんでしょう」
アグモンは首をかくと同じく下を覗いた。
「あいつも・・・な」
 
 
谷川は振り向くと言った。
「悪い感じはしなかった・・・。優しい感じがした。・・・気のせい?」
嶋川は
「しらね。・・・同感だけどな」
とだけ言うと角を曲がってしまった。
「ふぅ〜ん、わりといい人なんだね」
谷川は結んでもらった髪をうれしそうな顔で撫でると嶋川とは逆の道を歩き出した。


Back Index Next

ホームへ

| ホーム | エターナル・ログ・ストーリー | エターナル・ログ・ストーリー  第二章 | エターナルログストーリー  第三章 | 掲示板 | 登場人物・登場デジモン | 二章 キャラ紹介 | 3章 キャラ紹介 |
| 関連資料室 |