BACK

DIGITALMONSTER  
X−EVOLUTION   

                          (小説版)
 
                        フルCGアニメの小説版です。
 
12    第11章
 
飛び上がったドルグレモンは湖の上を飛んだ。下を見たドルグレモンは自分の姿と先ほどからデジモンの殺戮を続けるデクスドルグレモンの姿の一致に驚いていた。
「!おれは・・!?おれが・・・何故・・・?」
 
 
オメガモン・マグナモンはシステム界からモニターでその様子をずっと見物していた。オメガモンは湖に映る自らの姿を凝視するドルグレモンを見ながら言った。
「これが・・・、実験体だということの意味なのか・・・」
 
 
「どうして・・?こんな姿に・・・」
ドルグレモンが打ちひしがれている間にもウォーグレイモン・メタルガルルモンは戦闘を再開した。確実にデクスドルグレモンの数は減ってきていた。
「・・・おれは・・・!」
ドルグレモンもついに参戦した。
 
 
ドルグレモンの行動の中にドルモンだったころの姿を見たトコモンがドルグレモンの背に飛び降りた。
すでに動いているデクスドルグレモンは数体になっていた。
デクスドルグレモンを粉々に破壊したウォーグレイモンがみんなに言った。
「みんな冷静になれ!あいつが似た姿なのにはきっと理由があるんだ!心をひとつにするんだ!」
 
そのとき常識を超えた数の羽音が断崖絶壁に囲まれた湖を包んだ。大量のデクスドルグレモンが先を争って飛び込んでいった。
 
 
我先に襲い掛かるデクスドルグレモンの群れをみてマグナモンは言った。
「そういうことか・・・・」
オメガモンが視線で促す。
「イグドラシルは・・・常に先を見ているということだ。これは・・・ロイヤルナイツのプロジェクト・アークの遂行に支障が出たときの・・・いわば“保険”だ」
「・・・・支障が出たとみなされたのか・・・」
「デュークモンの例もある」
その一言を聞いたオメガモンは明らかに遺憾だった。
「承伏しかねる!イグドラシルへの謁見を求める!」
「まて!オメガモン!!」
マグナモンはとっさに止めたが遅かった。
 
 
デクスドルグレモンの第2波が頭上に迫ったとき、全員が息をのみ、覚悟した。
「[ファイナル・エリシオン]!!!!!」
凄まじいエネルギー波がデクスドルグレモンの群れに直撃し、7割が消し飛んだ。
唖然としていたウォーグレイモンたちが辺りを見回しだしたとき、紅いマントを翻してデュークモンが降り立った。
「このデュークモン。立った今データの宇宙より帰還致した」
湖の上まで降りるとX抗体を手にしたデュークモンは言った。
「ウォーグレイモン、メタルガルルモン。全員を誘導して離脱しろ!・・・ここはこのデュークモンとドルグレモンに任せてもらう!」
手近のデクスドルグレモンを片付けるとウォーグレイモンはメタルガルルモンに、
「行くぞ!」
と呼びかけた。メタルガルルモンもガとリング砲を連射してデクスドルグレモンを数体倒し、
「飛べる者は飛べない者に手を貸せ!一気に壁を乗り越えて森へ入る!」
「おれは大丈夫だから、安全な場所へ」
ドルグレモンはトコモンに言い聞かせていた。ウォーグレイモンに抱き上げられたトコモンに、
「おれもきっと行く。約束する」
ウォーグレイモンはドルグレモンに、
「あとは・・・まかせた・・!」
と言い、誘導をはじめた。
 
[[ロイヤル・セイバー]!!」
デュークモンの右手に装備された光の槍が巨大化し、デクスドルグレモンを次々に薙ぎ落としていった。
ドルグレモンがとなりに飛んできて「ぶじだったんだね」と言うとデュークモンは飛び掛ってきたデクスドルグレモンを両断し、
「うむ、心配をかけたな」
と言った。ドルグレモンは戦いながらデュークモンを質問攻めにした。
「おれは・・・生きててよかったんだろうか・・・。おれが死んでいれば、こんなことにはならずにすんだんじゃ・・・・」
「このデュークモンも・・その答えを知りたかった」
「おれは一体何者なんだ?おれは・・何故ここにいるんだ?」
それを聞いたデュークモンは言った。
「全ての命は生きるためにある。初めから存在を拒否された命など・・・この世のどこにもありはしない」
逃げるデジモンに襲い掛かるデクスドルグレモンを切伏せ、デュークモンはドルグレモンに言った。
「ドルグレモン!イグドラシルに行け!自分の正体を知りたいのであろう?」
はっきりと頷いたドルグレモンの顔を見るとデュークモンはロイヤルセイバーを構えた。同じ高さにいたデクスドルグレモンを横薙ぎに一掃するとデュークモンはイージスを天に掲げた。まばゆい光が空を突き抜けシステム界へのゲートを開く。
「全ての答えはそこにある。イグドラシルでなにが起こるのか。それはこのデュークモンにも分からぬ。だが道は・・・そこにしかない!」
「でも・・・・」
渋るドルグレモンにデュークモンは言った。
「ここはこのデュークモンだけで十分だ!・・・・そなたは我君イグドラシルとまみえる必要がある。それが一度我が身を滅ぼして得た・・・このデュークモンの答えだ」
ドルグレモンは強く頷くとデュークモンに一言、「行ってくる」と言いゲートへと昇っていった。
ウィザーモン、マミーモン、シルフィーモン、メタルガルルモン、ウォーグレイモン、トコモン。そしてデュークモンが見守る中、ドルグレモンはゲートへと消えていった。
 
更新日時:
2007/05/08 
前のページ 目次 次のページ