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DIGITALMONSTER  
X−EVOLUTION   

                          (小説版)
 
                        フルCGアニメの小説版です。
 
13    第12章
「無駄だ!オメガモン。イグドラシルが取り合うものか!」
マグナモンは遠ざかるオメガモンの背に呼びかけた。
「取り合ってもらわねば困る!イグドラシルに忠誠を誓いはした。だが!だからと言って主の気ままを黙認することはできん!」
「気ままとは・・・聞き捨てならんぞ」
マグナモンの言葉を聞いてオメガモンはついに振り返った。
「ならばこのこの混乱はなんだ!?」
「それは・・・・」
マグナモンがそうつぶやいた瞬間彼らの間に光が現れ、ドルグレモンが姿を現した。
「何故お前がここにいる・・。ここはお前ごときが来れる場所ではない。早々に立ち去れ!」
「デュークモンが道を開いてくれたから・・・」
「デュークモン・・・?」
馴染みの名前を聞いてオメガモンは呟いていた。
「答えを見つけに来たんだ。イグドラシルに会いたい」
ドルグレモンの申し出を聞いてマグナモンは
「話にならん」
と言ったがオメガモンは、
「ふ・・・おもしろい・・・・」
と言った。
「ばかな・・・・・」
「ロイヤルナイツですら謁見の敵わぬイグドラシルにこいつは会いたいと言う・・。しかも、ここへの道を拓いたのは我盟友デュークモンだと言う」
オメガモンはグレイソードを抜き言った。
「ならば相応の受け答えをせねばなるまい」
オメガモンはドルグレモンを見据えていった。
「私を倒せたならばその願い、かなえてやろう」
「倒すなんてそんな・・・」
呟いたドルグレモンにオメガモンは間合いをつめグレイソードを振り上げた。
エネルギー波がドルグレモンを吹き飛ばした。叩きつけられたドルグレモンと剣を構えたオメガモンを見比べてマグナモンはオメガモンに言った。
「何故・・・そうも熱くなる必要がある・・?こいつはイグドラシルが生み出した実験体とはいえたかが一介のデジタル生命体ではないか」
「いや、おれとこいつの考えてることはたぶん一緒だ。ならば・・・どちらかがイグドラシルに謁見し、その真意を問えればそれでよい。デュークモンが道を拓いたというなら尚のこと。おまえの本気を見せろ!」
立ち上がったドルグレモンにグレイソードを向けた。
「まって・・・時間がないんだ。早くしないとデジタルワールドが!」
「おまえがイグドラシルに会って、知りたい答えを見つけたならば・・・・」
オメガモンはガルルキャノンを構える。
「デジタルワールドは救われるのか!?」
凄まじいビームが撃ち出され、ドルグレモンはすんでのところでそれをよける。
「思い上がるな!私とさえまともに向き合うことのできないおまえがイグドラシルに会ったところでなんになる!?」
ドルグレモンは体を起こしながら言った。
「いやだ・・・戦いたくない。あなたとは戦う理由がない!」
「そちらになくてもこっちにはある。おまえは何を賭けてここまでやってきた?」
「存在の・・・・全て・・・!」
「ならば戦え・・・。それほどの覚悟が口先だけではないことを・・・賭けた存在の全てとやらで証明しろ!」
 
次の瞬間ドルグレモンの翼が2枚宙を舞う。オメガモンはグレイソードを構え、再び斬りかかる。姿が見えないほどのスピードだった。
尾を両断し、返す剣でドルグレモンの巨体を吹き飛ばした。
「おれが戦うべき相手はあんたじゃない!」
「まだ言うか!ならばおまえの相手とは!」
「それをイグドラシルに会って確かめたい!」
2人の討議に痺れを切らしたマグナモンが言った。
「なにを手こずっている!?侵入者は排除するまでだ!必要なら手を貸すぞ!」
 
オメガモンはすべるようにドルグレモンに歩み寄った。
「ロイヤルナイツはデジタルワールドの秩序を守る。おまえごときがイグドラシルに会うことは秩序に反することなのだ」
オメガモンはドルグレモンにグレイソードを突きつける。
「・・・これまでだな」
グレイソードが振り上げられる。ドルグレモンは思わず目をつぶった。
 
 
『  お前はおれの分までこの新世界で生きろ  』
 
『  オレの分まで・・・生きてくれ  』
 
『  種の・・・デジモンの未来のために・・・  』
 
『  命はそこにあるだけで美しい  』
 
『  そなたは我君イグドラシルとまみえる必要がある。それが一度我が身を滅ぼして得た、このデュークモンの答えだ  』
 
 
グレイソードが振り下ろされる。ドルグレモンは目を見開き、次の瞬間光に包まれた。
 
 
 
森の中を逃げ続けるデジモンたちを空からデクスドルグレモンが追う。ウォーグレイモンはそれを見上げると、襲い掛かってきた1体をつかまえ投げ飛ばした。
そのとき、ウォーグレイモンの背にしがみついていたトコモンは空が光り輝くのを見ていた。
 
 
膨大なデータがドルグレモンに注がれる。
 
 
デュークモンはたった1人で無数のデクスドルグレモンを一撃で消滅させると、真上を見上げた。光がゲートから漏れていた。
 
 
システム界。
ロイヤルナイツの集う場所に新たに1つ席が現れた。
光が集まり、やがて1体の漆黒の騎士の姿になった。
その姿を見たオメガモンは驚いた。
「おまえは・・・・」
「オレの名はアルファモン」
漆黒の騎士=アルファモンが名乗り、マグナモンも驚いた。
「そんな・・・馬鹿な・・・。アルファモンとは名のみ知られながら決して存在することはないと言われた、いわば神話の中のロイヤルナイツ」
「しかし、オレはここに存在する。あなたのおかげで今、自分の為すべきことがわかった。・・・オレは、イグドラシルのこれ以上の介入を許さない」
オメガモンはデュークモンが何を察していたのかが全てわかった。
「デュークモンは・・・そのためにお前をここに・・・」
オメガモンは右手を胸に当て言った。
「確かめよう。そなたの意を認め、私が立会人となろう」
オメガモンは再び歩き出し、アルファモンはそれに続いた。
マグナモンはあわてて立ちふさがった。
「だめだ!ロイヤルナイツはデジタルワールドの秩序を守る。ついさっきお前はそう言ったばかりだ。これが秩序か!」
しかしオメガモンは平然と答えた。
「気づくのが遅すぎたようだ・・・。デジタルワールドの秩序が崩壊しようとしているとき、イグドラシルの秩序にこだわっても仕方あるまい」
「ロイヤルナイツにあるまじき行為を犯した者。そんな汚名に甘んじてでも行くか!?」
「行く。我盟友デュークモンがそうしたように」
「面倒なもんだな。仲間が大変なんだ。デジモンがデジモンの危機を前にして、なんでこんな所で言い争わなければいけないんだ」
そして再び歩き出し、オメガモンとアルファモンはマグナモンの脇を通り過ぎた。
マグナモンは二人がゲートに進み、立ち去るまで無言だった。
 
「ちがう・・・。危機だからこそ、秩序が必要なのだ・・・・!」
そしてマグナモンは行動に出た。
無数に現れた画面には『警告』と表示されていた。
 
 
 
 
 
 
 
更新日時:
2007/05/09 
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