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DIGITALMONSTER  
X−EVOLUTION   

                          (小説版)
 
                        フルCGアニメの小説版です。
 
14    第13章
無数のデクスドルグレモンはただデジタルワールドを飛んでいた。
しかしその真下から大地が原型を形作るものだけを残し消えた。
仲間の大半を失ったウォーグレイモンたちは逃げ続けるしかなかった。
 
 
 
システム界の中枢=イグドラシルの真下に来たアルファモン・オメガモンはそこにいたなにかと対峙していた。
「何者だ!」
オメガモンの問いにそれは不気味な鳴き声で応じた。体を機械のように動かし、次の瞬間その巨体に不釣合いな動きで一瞬前まで2人のいた場所を踏み砕いていた。
上空によけたオメガモンは即座にガルルキャノンを構え撃つ。
高密度・山をも砕く攻撃はかすり傷1つ残すことができなかった。さらにグレイソードで斬りかかるが羽を数枚散らしただけでオメガモンはその隙をつかれ吹き飛ばされた。デクスドルゴラモンは残った1体=アルファモンに襲い掛かる。
「[デジタライズオブソウル]!!」
アルファモンの右手から放たれた碧の閃光がいとも簡単にデクスドルゴラモンの体を打ち砕き、粉々にした。
驚くオメガモンにアルファモンは静かに言った。
「行こう」
オメガモンは頷き、飛び立った。
 
 
 
デクスドルグレモンの群れは凄まじいスピードでデジタルワールドを分解していく。
その間にほぼ全てのデジモンが一緒に分解された。
 
 
 
全体が水晶でできたような場所にアルファモン・オメガモンは出た。
水晶のドームと中央に立つ小さな塔を見てオメガモンは呟いた。
「これが・・・イグドラシル・・・?」
アルファモンは言った。
「イグドラシルに問いたい。あなたの真意はどこにあり、何を為そうとしているのかを!」
「私も知りたい。プロジェクト・アークを何故かくも強引な方法で推し進める必要があったのかを!」
しかしなにも変化はない。
「イグドラシル。沈黙を続けるならば相応の覚悟がある」
「・・・・・・・どの道、ここを無事では出られまい」
オメガモンはアルファモンに状態を説明する。
「マグナモンがイグドラシル全域に警報を発した。私たちは反逆者だ」
 
 
その真下ではデクスドルゴラモンの残骸が光を放ち始めた。
 
 
そして、
デジタルワールドはついに崩壊をはじめた。
 
 
アルファモンは言った。
「イグドラシルが沈黙すれば・・・問題は解決するのだろうか・・・・」
オメガモンは答えた。
「・・・しないかも知れん・・・」
「だったら・・・オレたちのしている事はなんだ?」
「1つだけ確かなことがある。・・・どっちにしても、このままではデジタルワールドは崩壊する」
 
 
 
半身の砕けた状態でデュークモンは空をみあげる。無数のデクスドルグレモンの向こうに消滅を始めた青空が見えた。
 
ウォーグレイモン・メタルガルルモン・ウィザーモン・マミーモン・シルフィーモンたちは1つの岩の上で大量のデクスドルグレモンに囲まれていた。
彼ら、そしてデジタルワールドが倒れるのは時間の問題だった。
 
 
 
「それなら・・・・!」
「ほうってはおけまい・・・!」
アルファモン・オメガモンはイグドラシルを見据えた。
イグドラシルは何の反応も示さず2人のはるか前にいた。
すべるように間合いを詰める2人。しかし行く手をデクスドルゴラモンの残骸から発生したデクスドルグレモンの姿の光の影が2人に襲い掛かった。
アルファモンが片端から[デジタライズオブソウル]で撃ち抜いていく。生まれた隙間からオメガモンがさらにイグドラシルに迫りガルルキャノンを撃ち込んだ。しかし効かない。オメガモンはグレイソードを構え、突進した。
しかし巨大な手につかまり、それを阻まれた。
桁外れの巨体をもつデクスモンがイグドラシルとアルファモンたちの間に立ちふさがった。
デクスモンは口から碧の閃光を発射し、オメガモンに直撃する瞬間、アルファモンがオメガモンの前に飛び出した。オメガモンは凄まじい波動に気を失いかけた。
碧の閃光をやり過ごしたアルファモンは左手で魔方陣を描く。そして巨大な剣を抜き放った。
 
「[究極戦刃王竜剣]」
 
アルファモンは気合もろとも王竜剣でデクスモンの右手を斬りつけた。
オメガモンが開放され、アルファモンの右手に傷が現れた。
振りかざされる腕をよけ、アルファモンは王竜剣を振りかざし突進した。
それを見たデクスモンは胴体を背の翼で覆う。王竜剣はそのまま翼を断ち切った。
次の瞬間アルファモンの片方の翼が散り、アルファモンはバランスを崩した。
 
右腕の傷と王竜剣が付けた傷。
切り落とされた片翼。
 
「・・そういうことか」
アルファモンは呟くとデクスモンの正面に飛び上がり王竜剣を投げた。
王竜剣はきれいな弧を描き、アルファモンごと、そしてイグドラシルもろともデクスモンを地面に縫い付けた。
それを見たオメガモンは飛び、アルファモンに駆け寄った。
「なんということを・・・・」
オメガモンの方を向くとアルファモンは自分のX抗体を差し出した。
「これを・・・あなたに託したい・・・」
「いや・・・しかし・・・」
「こいつは・・・オレの影だ・・・・・」
アルファモンはオメガモンを見て続けた。
「オレは・・・仲間に出会っていなければ・・・今のこの姿ではなくこいつと同じになっていたのかもしれない・・・。でも今はこのデジタルワールドに生まれ、あなた達に出会えたことを誇りに思う・・・」
アルファモンはオメガモンの顔を見ていった。
「命は・・・・受け継がれるものだから・・・!」
オメガモンはX抗体を受け取る。そして彼は光に包まれ、X抗体を取り込んだ。
それを見たアルファモンは頷き、デクスモン・アルファモンはドルモンの姿に戻った。
更新日時:
2007/05/19 
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