雨が降っていた。雷鳴がとどろく森を1体のデジモン、ドルモンが走り抜けていく。
暗い森の中を駆け抜けるなか、ドルモンは足元の倒木に足をとられた。
倒れるドルモン。
気配を感じ、体勢を立て直し振り向いく。
大きな影が素早い動きで迫る。
時折後ろを振り返り逃げるドルモン。
やがて前方を断崖絶壁に阻まれた。
剣が抜かれ、木が一撃で切り倒しされる。
落雷に照らされたそのデジモンは、
レオモンだった。
逃げ出すドルモンの前に立ちふさがるレオモン。
「[メタルキャノン]!」
鋼鉄の弾丸が撃ち出され、レオモンはすかさず獅子王丸で撃ち消した。
連射するドルモン。
レオモンは無数の砲弾に飛び掛り、精神を集中させる。
「[百獣拳]!!」
獅子のエネルギー波がメタルキャノンを全て破壊した。
轟音、爆発、硝煙が立て続けに起こっては消えた。
「あぁぁぁ!!」
反動で地面に投げ出されるドルモン。
レオモンは獅子王丸を構えドルモンに迫る。
雷がとどろき剣が振り上げられた。
(もうだめだ・・・)
ドルモンは最期を覚悟した。
恐る恐る顔を上げたドルモンは目の前で地面に手をつくレオモンに驚いた。
「生きたいか・・・?」
荒い息を繰り返しながらレオモンが不意に言った。
「おれは・・お前のX抗体を手に入れても、そう長くは生きられない・・・」
レオモンはドルモンの目を覗き込んで微笑んだ。
「いい目だ・・・お前はおれの分までこの新世界で生きろ・・。種の・・・デジモンの未来のために・・・」
いい終えた瞬間、レオモンは地面に倒れた。
駆け寄るドルモンにレオモンがゆっくりと呟いた。
「追っかけまわして・・・悪かった・・・・・」
レオモンはまったく動かなくなった。
雨があたり、流れ落ちる。
レオモンが死んだ事を悟ったドルモンは長く大きく声をはり上げた。
感情が押さえ切れなかった・・・。
ただ叫び声が雷鳴の中、森に響いた。
そして・・・・・
晴れた日。
ドルモンは川で水を飲んでいた。
背後に気配を感じ、振り向くと3体のマッシュモンがこちらを睨んでいた。
「出て行けよ!お前は選ばれてないんだろ!」
「お前らみたいなおでこに変な石のあるデジモンがここに逃げ込んで来たせいで!この世界がおかしくなった、てアンドロモンが言ってたぞ!」
「ここから出て行け!」
「出て行け!!」
そういうとマッシュモンは肩の起爆性のあるきのこや足元の石をドルモンに投げつけた。
ドルモンはさびしそうな目をし、次に睨みつけ、川に飛び込んだ。
「まてよ!!」
一体のマッシュモンが叫んだ。
「いや、もういい」
もう一体のマッシュモンがそれを制す。
下流に流されるドルモンを見届け、マッシュモンは帰っていった。
下流付近の草原をドルモンは力なく一人で歩いていった。
すでに夕日が半分ほど沈んでいた。
ドルモンは涙を流してつぶやいた。
「どうしておれはここにいるんだろう・・・。こんなとこ、誰にも受け入れてもらえない・・・・。誰にも必要とされてない・・・・・。なのに・・なんで・・・?」
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