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DIGITALMONSTER  
X−EVOLUTION   

                          (小説版)
 
                        フルCGアニメの小説版です。
 
3    第2章
デュークモンが降り立った。
彼は腕を組み、オメガモンと対峙する。
そしておもむろに口を開いた。
「プロジェクト・アークを我々ロイヤルナイツのみの手で実行するなど可能だと思うか・・?」
それを聞いたオメガモンはかなり強い口調で反論を始める。
「可能かどうかの問題ではない。それがイグドラシルの決定事項だからだ。我々は確実に使命を遂行するまでだ」
「それでいいのか?」
「何が言いたい」
「我々は二重に過ちを犯そうとしているのではないか?」
「イグドラシルが、間違っているとでも言うのか?」
「・・・デジタルハザードを回避する・・。我君イグドラシルが実行したXプログラム。このデュークモンにはそれが・・・」
激しい論議にオメガモンはデュークモンの発言に重なる形で終止符を打った。
「X抗体を持つデジモンなど・・・所詮異分子に過ぎない!異分子は速やかに排除するまでだ」
そう言い捨て、オメガモンはマントをひるがえし足早に立ち去る。
「彼らと我ら・・・デジモンとして何が違うというのか・・・」
彼の背に向かってデュークモンはつぶやいた。
 
 
 
粗い岩肌が連なるエリアに花が一輪咲いていた。
 
そこにアンドロモンたちとウォーグレイモンたち、2つの勢力が集まっていた。
「たのむ聞いてくれ!もう争ってる場合じゃないんだ!このままではオレ達デジモンは全滅してしまう!」
そう呼びかけたウォーグレイモンの言葉にブロッサモンが反論する。
「いまさら勝手なこと言わないでよ!その危機を招いたのはアナタ達じゃないの!」
今度はガルダモンが反論した。
「それ違う!Xプログラムに感染した多くの仲間死んだ。全デジモンの98%死んだ。・・・おれたち、生きるためこの新世界に逃げてくるしかなかった」
アンドロモンは静かに、しかし強い口調で言った。
「そしてこの世界も汚染してくれたわけだ。お前達さえ来なければ・・・!」
「自分達さえ良ければそれでいいって言うのかい?他のデジモンはどうなろうが知ったことじゃないって!?」
コクワモンの必死の言葉にブロッサモンは触手の周りで跳ね回るトコモンを指して言った。
「じゃあアナタたちはどうなの!?アナタたちがここにきたせいでこの子だって危険にさらされるのよ!?」「それは・・・」
ガルダモンもコクワモンも黙って目をそらす。
その時だった。
突然両者の間に土ぼこりをあげて岩がせりあがり地割れができた。
大地に打ち込んだドラモンキラーを引き抜くとウォーグレイモンは、
「すまない・・・本当に争ってる場合じゃないんだ。君達だってそれが分かっているからここに来てくれたんじゃないのか?」
そう話しかけた。
アンドロモン達が押し黙る。ウォーグレイモンは続けた。
「全ての事の起こりはイグドラシルがXプログラムを発動したことにある。ついでに言えばこの新世界が汚染されたのもイグドラシルがX抗体を持つデジモンを狩りはじめたからだ・・!」
「嘘だ!」
とっさにハヌモンが叫ぶ。
「連中はXデジモンを駆逐する際、その内部にあったXプログラムをこの世界に解き放ってしまった。であればイグドラシルこそが我々の共通の敵、ということではないか?」
「ハッハッハッ・・・・」
ウォーグレイモンが話を終えたときだった。
アンドロモンが高笑いをし、そして言った。
「面白い話だが・・・これまでだな。ここに来る前にイグドラシルに通報したのさ。   ・・・・・お前達は、ここで終わりだ・・・!」
ウォーグレイモンの顔色が変わっていった。
「なんて事を・・・!  集まりは解散だ!みんな今すぐここを離れろ!」ウォーグレイモンがそう言った瞬間全員が崖の上を見上げ、そして息を呑む。
ロイヤルナイツ=オメガモンが彼らを見下ろしていた。
右腕がゆっくりと持ち上がる。
「逃げろ!」
叫ぶとウォーグレイモンは背中のブーストでオメガモンへと飛び掛った。コクワモンとガルダモンが飛び去る。
「ハァァァァァ!!!!」
ドラモンキラーを引き手に構えたウォーグレイモンをオメガモンは無言で見下ろし、セッティングの完了したガルルキャノンを撃った。
凄まじいエネルギー波を受け流しきれず、ウォーグレイモンは弾き飛ばされ、コクワモンは一瞬で消し飛んだ。
ガルダモンは地形を変貌させながら迫るガルルキャノンを見て、死を覚悟した。
(なら・・・!オメガモンに一撃をくれてやる!このまま死んでたまるか・・・!!!)
「[グレート・スピリット]!!」
巨大な槍をオメガモンに向け投げつける。
直後ガルルキャノンの直撃をうけ完全に消滅した。
 
 
オメガモンは自分に向かって猛然と飛んできた槍を左腕だけではじき返す。
推進力を失った槍は崖の下に落ちていき、アンドロモンたちの数メートル横に刺さった。
それを見たブロッサモンが言った。
「バカめ・・このサーバにさえこなければ死なずにすんだものを・・・」
噴煙の上がる崖下にオメガモンが降り立つ。
そして振り返りアンドロモンたちを一瞥、歩み寄る。
威圧され、最悪に自体を想像しあとずさる。
アンドロモンは絶対に信じられないという顔でつぶやいた。
「まさか・・・我々までも・・・?」
(まさか・・・!我々はイグドラシルに“選ばれたデジモン”!その我々がイグドラシル直属のロイヤルナイツに倒される事など・・・・・!!)
アンドロモンの呟きに答えるようにオメガモンはグレイソードを構えた。
悲鳴をあげ逃げ去るアンドロモンたちにむけ、オメガモンはグレイソードをゆっくりと振り上げた。
 
そのとき上空からウォーグレイモンが襲い掛かる。
左手のドラモンキラーを撃ち出し、グレイソードの動きを鈍らせる。
着地したウォーグレイモンは逃げ遅れたトコモンをかばった。
その瞬間・・・凄まじい斬撃が崖を一文字に切り裂き、ウォーグレイモン、トコモン、アンドロモン以外が真っ二つに切り裂かれた。
 
アンドロモンは背中を弾き飛ばされたドラモンキラーに貫かれていた。彼は何故自分が襲われたかかを悟り、苦笑いをした。
そのまま、何歩かよろけながら歩き、そして倒れ、動かなくなった。
 
何とか持ちこたえ、顔を上げたウォーグレイモンの目にガルルキャノンを構えるオメガモンが映る。
 
ウォーグレイモンの目が見開かれた。
 
 
崖は凄まじい攻撃を受け崩れ去った。
 
崩れ落ちた大きな岩が凄まじい衝撃とともにその下にあった花を押しつぶした。
 
 
更新日時:
2007/10/29 
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