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DIGITALMONSTER  
X−EVOLUTION   

                          (小説版)
 
                        フルCGアニメの小説版です。
 
5    第4章
水が凄まじい音を立てて落ちていく。
轟音に包まれた滝の裏の洞窟に2体のデジモンがいた。話し声がかすかに聞こえる。
「やっぱり無理か・・・」
壁によりかかったデジモンが口を開いた。
「ロイヤルナイツ・・・さすがに強い」それにウォーグレイモンが答える。メタルガルルモンはウォーグレイモンに問いかけた。
「彼らは・・・本当に敵なんだろうか・・・」
ウォーグレイモンは明らかに遺憾をあらわにした。
「バカな・・・。お前は今まで何を見てきた!?」
「ロイヤルナイツといえども結局はイグドラシルの指示で動いているに過ぎない」
メタルガルルモンは視線を落とす。
「あの行動が彼らの意思とは思えない。・・・思いたくはないのだ・・・」
それを聞いたウォーグレイモンは言った。
「お前の言うとおりだとしたらなお悪い」
顔を上げたメタルガルルモンと目が合う。
「ホストコンピュータの言うがままに同じデジモンを殺戮する・・・。オレはそんなロイヤルナイツを憎悪する。ロイヤルナイツのデジモンとしての誇りはどこへ行った!?」
メタルガルルモンは徐々に言い負かされてしまった。しかし、
「それは・・・。それでもおれは!ロイヤルナイツを信じたい・・・。イグドラシルが何をしようとしているのか、答えを出すのはそれを知ってからでもおそくない」
精一杯、そう言ってみた。
ウォーグレイモンはそんな彼を黙って見つめていた。
 
 
夕日が空を赤く染めていく。
森の中でドルモンとトコモンが走り回っているのだが、木々がそれを覆い隠していた。
勢いあまってつまづいたトコモンにドルモンはあわてて駆け寄り、「大丈夫?」と声をかけた。トコモンは立ち直るとうれしそうに何度もはねた。それを見たドルモンはほっとした表情で手ごたえを噛み締めた。
「よかった・・・。おれなんかでも役に立つんだな・・」
 
そのとき・・・・
 
地響きがしはじめる。
山の頂上から大量のデジモンが駆け下りてきた。
空を無数のプテラノモンが飛んでいく。
ドルモンとトコモンは驚いてその様子を見ていた。
突然太陽が光り、山を光線が割った。
凄まじい攻撃が大地を砕き、駆け下りていたデジモンが宙を舞う。
その攻撃の光におもわずドルモンとトコモンは目を閉じた。
 
やがて光が消え、目を開けたドルモンは驚いた。
山が真っ二つになっていた。
新たにできた谷間からオメガモンが姿を現す。
ガルルキャノンによって命を奪われた数知れないデジモンの上をオメガモンは飛んでいった。
 
途中オメガモンは辛うじて生き残ったトリケラモンを見つけた。
痛みに呻いていたトリケラモンはオメガモンを見上げる。
その目に白い足が映りこんだ。
オメガモンは自分を見上げるトリケラモンを踏みつけた。
悲鳴が上がり、トリケラモンから取れた角が硬い音を立てて転がった。ドルモンは目を背けた。
息絶えたトリケラモンを背にオメガモンは辺りを見回す。
トコモンが震える。
ドルモンはトコモンに気づいたオメガモンを見て逃げ出した。
 
 
凄まじいスピードでドルモンたちに追いついたオメガモンは一人で対峙するドルモンを見下ろした。
木の陰に隠されたトコモンが心配そうに鳴いた。
「[メタルキャノン]!」
ドルモンの口から鉄球が打ち出される。
オメガモンは冷静な表情で左肩の盾で鉄球をはじき、そのままドルモンに体当たりをする。
吹き飛ばされたドルモンは木にたたきつけられた。
痛みに耐えながらドルモンは立ち上がる。
続けざまに体当たりをするが振られた左手に弾き飛ばされた。
呻き、地面に体をこする。
再度体当たりをするがやはり跳ね返された。
「守るんだ・・・」
朦朧とする意識を振り払い体当たりをする。
強烈に木にたたきつけられ木はそこから折れた。
見ていられなくなったトコモンはオメガモンの前に飛びつくと、体当たりをする。
弾き飛ばされたトコモンを見たドルモンは顔を上げ、体当たりをした・・・・・
 
 
左手がドルモン、トコモンに当たるのを感じながらオメガモンは心のなかで彼らに問いかけた。
「敵わないと分かっているはずなのにどうしてこうも立ち向かってくる!?何故だ・・・」
立ち上がることすらできなくなった2体を見下ろし、オメガモンは左手をゆっくりと上げた。
グレイソードが現れる。
もう一度見下ろした。
剣を振り下ろそうとした瞬間、
 
「[ガルルトマホーク]!!」
 
ミサイルが襲い掛かりオメガモンはすんでのところで爆発を避けた。
ミサイルが飛んできたほうを見る。
月の中からなにかが飛んできた。
次にオメガモンとドルモンの間に割り込むように[グレートトルネード]を使用してウォーグレイモンが地中から姿を現した。
ウォーグレイモンはドルモンを肩越しに見下ろす。
「大丈夫か?」
ドルモンはうなずき、
「約束・・・守ったよ・・・」
と言った。
更新日時:
2007/11/12 
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