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エターナル・ログ・ストーリー

   第2章
この<第2章>は『エターナル・ログ・ストーリー』最初の10人の物語です。
 
第二章と銘打っていますが第一章、第二章、どちらから読んでいただいても結構です。
ただ、<第三章>は全てを読んだ一番最後に読んでください。
 
 
テイマーたちの戦いをご一読いただければ幸いです。
 
11      No−11「Knowledge is power」
黒畑、和西が意藤を囲んでいた。
「なぁ、意藤さん。あいつらと組んだメリットはなんだ?」
和西が睨みともとれる視線を投げかける。
意藤は顔を背けた。
「2つくらいね。ひとつは嶋川和葉。彼女は完全体に進化する力を持ってる」
「それならオレたちも持ってる!」
噛み付いた和西を黒畑が押さえた。
「まさか・・・、捨て駒にしようなどと考えているわけではないだろうな」
その言葉に意藤はすんなりと答えた。
「いざとなればね。でも正直な所は・・・、あの4人の実力次第よ」
「積山も含めてか!?」
和西は脇の壁を蹴った。
「あのヤロー絶対なにか隠してやがる」
「おそらくは完全体になどとうに進化できるはずだ」
黒畑の指摘に和西は憤慨した。
「それを教えねぇのが気に入らないんだ!」
2人のやり取りを黙って聞いていた意藤は口を開いた。
「落ち着きなさい。味方は多いにこしたことはない」
和西は短く息を吐くとその場に座り込んだ。
「二ノ宮の話じゃ本当に究極体と戦うんだな」
「ええ、でも究極体ほどの容量がリアライズするのは至難の業。副作用は大きいわ」
「そうだ。完全体数体で一斉に攻撃すれば勝算はある」
二ノ宮が姿を現した。
彼の言葉を聞き、3人は目配せした。
「なるほどな」
和西はニヤリと笑うと立ち上がって出て行った。
 
 
折りたたみ自転車の荷台にカメモンの入ったバッグを積み、和西は狭い道を疾走した。
「かなり反応がうっすいけどさ、間違いない。完全体クラスだ」
カメモンがその場所への道筋を指示する。
広大な工場跡地に自転車を乱暴に乗り捨てると和西とカメモンはリアライズを完了したヴァンデモンと向き合った。
「ほほぅ。リアライズしてすぐに歓迎されるとは・・・・」
ヴァンデモンが不敵な笑みを浮かべる。
勢いよくマントを広げてそれに飛び上がるとそこからおびただしい数のコウモリが和西とカメモンに襲い掛かる。
コウモリに覆われてどこにいるのかさえ判別できなくなった2人を見下ろし、ヴァンデモンは嘲り、笑った。
その瞬間上空から急降下したピーコックモンのブレードがヴァンデモンの肩をかすめる。
地上でピーコックモンと合流した谷川はD-ギャザーに手を当てた。
「    ピーコックモン進化!!   」
ピーコックモンを風が包み込み、何かを叩いたような轟音が響いた。
「シンドゥーラモン」
放電音と風鳴りが周囲の空気を震わせ、シンドゥーラモンが翼を広げた。
谷川はその背に飛び乗るとヴァンデモンを攻撃するよう指示した。
「[宝鎚]」
電撃がヴァンデモンを貫き、マントの切れ端が宙を舞う。
本体を見失った谷川とシンドゥーラモンは背後に現れたヴァンデモンに気がつかなかった。
コウモリの山となった地面の一角を背景にヴァンデモンが攻撃を繰りだすべく片手を天に突き上げた。
「[サンダースパーク]!」
コウモリの山を突き破って和西を乗せたズドモンが右手の鉄槌を叩き下ろした。
「落とせ落とせ落とせ!!!」
和西が怒鳴った。
第一撃をよけたヴァンデモンを見据え、和西が第二撃を命じた。
「はははははははははっ!!!右だ!右だ!倒せ!!」
全身の筋肉をきしませ、大木のようなズドモンの右腕が信じられないような速さでヴァンデモンの体を捉える。
 
暴れ狂うズドモンの猛攻の前に、すでにシンドゥーラモンの一撃を受けていたヴァンデモンはひとたまりも無く消滅させられる。
 
 
シンドゥーラモンの上からその様子を見ていた谷川は神妙な顔で和西とズドモンを見下ろした。
「話は本当だったのか。カメモンも完全体に進化できるんだな」
目を伏せた和西に背を向けると谷川はシンドゥーラモンに降りるように促した。
 
地面に降り、出口に向かって歩き始めた谷川の背後でズドモンが動いた。
巨大なハンマーが振り上げられる。
 
 
殺気に気づいた谷川の眼が凶気に満ちた和西の眼と重なった。
更新
2007/12/09 

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