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しょうせつ
ばんがいへんおきば

小説番外編置き場
いろいろな所で書いてきたエターナル・ログ・ストーリーなどの番外編を公開するページです。
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4      Noー6 「I,Well,Get,Chance」
 
最近やっと慣れてきたようだ。わたしがルナモンと出会ってからもうすぐで1ヶ月になる。わたしの学校生活もだんだん変わってきたようだ。
以前はなにも考えずに歩いていた通学路も違って見える。不思議なものだな・・・。
そんな中いつもと違う風景が目に飛び込んできた。
道が丸々人だかりで埋め尽くされている。
「すいません・・・・」
人を掻き分けて前にでたわたしは息を飲んだ。
背中に警視庁と刺繍されたジャンパーを着た人が数人、ブルーのシートの中に入っていく。チラリと焼け焦げた塀や崩れたアスファルトが見えた。
「遺留品です」
テントから出てきた人が他の警察官にビニール袋に入った碧色の厚めの布を差し出した。
だいぶ血で汚れ、すすにまみれている。
「フレイウィザーモン・・・?」
わたしの脳裏に女の子と一緒にいたデジモンの姿がかすめた瞬間わたしはまた人を掻き分け抜け出した。
そしてまるで悪い事をしていて見つかったように端って別の道を通って学校に行った。
 
「あの・・・・」
自分の机に乗って窓の外を眺めていたわたしは不意に話しかけられた。
「あ・・・、神楽・・・」
一番の友達が目の前に立っているのに・・・。なぜか複雑な気分だ。たぶん神楽も同じだろうな・・・。
「泉、さん。ルナモン元気?・・・・まだ戦ってるの?」
わたしは仕方なく無言で頷いた。神楽は少しの間迷って、それから
「もうやめたほうがいいと思うよ?後戻りできなくなる」
そう言い残して教室から出て行ってしまった。
 
 
授業が終わると同時にわたしは教室を後にし体育館横に集まっていた谷川さんと積山のところに急いだ。
「早いね」
「おせぇよ」
お世辞にも優等生とは言えない着こなしの積山が言った。
「集まったのは理由があるんですよ」
谷川さんがそう前置きしてポケットから写真を取り出した。
「この前のテイマー、嶋川和葉さんと黒畑正次さん。・・・あと、林未神楽さんの住所とかが分かりました」
「・・・・どうやって?」
「秘密です」
「・・・・どうしてですか?」
「秘密です」
「・・・・・・・・・・・」
「それぞれの状況は黒畑と神楽さんが組んでるみたいです。嶋川さんにはとくに目立った行動はなさそうですね」
「だからよ、どうやってそんな事調べたんだ?」
「秘密です」
「・・・・・・・・・・そーかい」
「そういえば今朝学校来るときにものすごい焼け跡かなにかを警察の人が調べてたんだけど、なにかやったの?」
谷川さんは首を横に振り、積山はしらねぇ、と答えた。一応聞いてはみたがわたしは目星がついていた。
「嶋川和葉、だと思うんだけど」
 
 
その夜。明かりが1つを覗いて全て消え、シルエットだけになった林未邸の塀を影が飛び越えた。
神楽は布団を敷いてその上に寝転がって小説を読んでいた。フローラモンはすこし前から床の間で眠っている。
何の前触れもなく縁側のふすまが開かれ半分うとうととした表情になってきた神楽の心臓は凍りついた。
「ごめんなさい・・!声を出さないで」
そこには2人そろってすすと血にまみれたフレイウィザーモンに抱かれた和葉がいた。
 
 
 
 
 
              
 

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