デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 13    第13話 「凍結」
For:
2007.12.30 Sun.
治療の痛みにわめく声がうっすらと聞こえる病室には辻鷹とガブモン、積山と ギルがいた。
「へぇ・・・・いろいろあったんだね」
辻鷹がロッカーから上着を引っ張り出しながら言った。
ガブモンがそれを手伝う。
とにかく、と言って積山はギルから辻鷹の銃を受け取り、
「ま、退院おめでとう」
持ち主に返した。
ドアが開き、和西達が入ってきた。
「・・・よくそれだけですみましたね」
積山は和西の額に巻かれた包帯をみて言った。
「いや・・・まぁね」
和西はしぶい顔をして答え、後から忍び笑いをもらす嶋川たちが入ってきた。
 
「それで全員絶対参加の会議っていうのは?」
アグモンが聞いた。
和西は
「まぁいろいろ」
と言葉を濁し、続けた。
「いまさらって感じもするけどまずは新しい仲間の谷川計さんとホークモンね」
「ん、よろしくっ」
「よろしくお願いします」
「これでとりあえず5人。あと5人どっかにいるはずなんだけど・・・」
「その内出てくるんじゃねぇの?」
嶋川の発言に、
「・・それらしい人物がいたら全員に知らせてください。右手の甲に紋様のある人を・・・」
積山が被せるように言った。
 
 
ホークモンが何かに気づいた。
「計、あれ」
その指す先には2,3体のデビモンが滑空する姿があった。
もはや日常茶飯事へと転移しつつある光景に彼らはうんざりしていた。
嶋川とギルが窓際に立って見上げる。
「ここの所やけに多いな」
「被害者も結構出てるらしいよ。確かにあんなのあいてにフツーの人間太刀打ちできないよな」
「3体、だって。どうするんです?」
谷川は試すような目で積山に促した。
積山は親指で指して
「当然、追いかけましょう」
即答だった。
 
 
「ゼェゼェゼェ・・・。ごめっ・・ごめん、ちょっと・・・・」
辻鷹が国道脇のガードレールにもたれかかって言った。
微妙にさわやかな微笑みを浮かべている。
「辻鷹君!がんばれ!」
半分明らかにからかい口調で谷川がはやし立てた。
和西がそれを黙らせ、辻鷹に近寄って言った。
「まぁ出来るだけ早く来てよ」
ガブモンは辻鷹を背負うと首を振って
「そうするよ・・」
と言った。
 
 
嶋川は木の陰から様子を伺い言った。
「あれ・・・だな」
嶋川は林に入っていくデビモンを覗き見ていた。
谷川は積山を押しのけてとなりにしゃがむと言った。
「あれ・・・だな」
嶋川を見上げて口元だけ笑うと右手の盾のロッドを引いた。
「どう思う?」
和西が聞き、
「相手の配置がまったく分かりません。二手に分かれて林の端から少しずつ近づきましょう」
と積山が腕組みをして答えた。
和西は全員に知らせると降流杖を腰の後ろから抜いた。
 
和西・ゴマモン、積山・ギルは右側から林の中を進んでいった。
「にしてもなんで2手なんだ?全員で一気に攻撃したほうがいい気がするんだけどな」
ゴマモンを一瞥すると積山は
「ぼくも最初はそう考えたんですけど相手がどこにいるか分からないから囲まれるとまずいでしょ?」
と答えた。
「!」
「!」
「!」
「[ブラッドネイル]!!」
説明し終えた積山が通り過ぎた脇の大木、その枝の上にネオデビモンがいた。
ギルはいち早く右手を振りかざしたがその瞬間蹴り飛ばされる。
積山は断罪の槍を抜いたが間に合わずネオデビモンに連撃を受けた。
和西は恐怖のあまり目を閉じた。
その間、積山は軽い動きでネオデビモンの攻撃をすべて受け流すと断罪の槍でネオデビモンの腕を切り落とした。
断罪の槍を槍の形にし、隣に立った積山を見て和西は
「す・・・すごいね・・」
思わずつぶやいた。
「それほどでもありません」
積山はこともなげにうけ答える。
ネオデビモンは素早い身のこなしで体勢をたてなおし、積山と和西に襲い掛かる。
積山はすかさず槍をかまえ、和西はその背をガードするように降流杖を構えた。
 
 
非常に見通しの良い竹やぶを進んでいった嶋川・アグモン、谷川・ホークモンはすぐに最初にのぞいていた辺り、つまり中心地点に来てしまった。
「どうする?」
アグモンがアゴをかきながら言った。
はずれと分かりきった最後のくじのように4人にはよく分かった。
ここから先にネオデビモンがいる。
 
 
 
そのころ・・・・
「ほら仁!!がんばれって!!」
「そそそそそそそっ・・そんなこと言ったって・・・ちょっと休憩・・」
辻鷹とガブモンはやっと和西達のいる河川林のある川の橋の上にやってきた。
「そうだ!!」
辻鷹は突如ひざをたたいた。
そこにはホルダーが下がっていて銃が収まっていた。
「なんだよ」
ガブモンが首をひねるのを見ずもせずに辻鷹は2丁の銃を組み合わせてライフルにした。
「ここから狙い撃ちにするんだよ。それならあそこまでいかないですむでしょ?」
辻鷹は欄干の隙間から銃口を出して狙った。
目が蒼く染まり、ガブモンはため息をついて
「分かったよ」
あきらめたように言った。
 
 
「っの!!!」
和西はキッと見上げてネオデビモンを見る目が青く染まった。
和西は凄まじい動きで跳躍し降流杖でネオデビモンを叩き落した。
「おわっとぉ・・・」
和西は枝に辛うじてぶら下がり、スッと着地した。
「[マーチィングフィッシーズ]!」
ゴマモンが地面に激突したネオデビモンに追撃をした。
半身の砕けたネオデビモンに積山とギルがトドメを刺す。
 
 
 


Back Index Next

ホームへ

| ホーム | エターナル・ログ・ストーリー | エターナル・ログ・ストーリー  第二章 | エターナルログストーリー  第三章 | 掲示板 | 登場人物・登場デジモン | 二章 キャラ紹介 | 3章 キャラ紹介 |
| 関連資料室 |