デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 19    第19話 「痕跡」
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2007.12.30 Sun.
日が流れ、ある日曜日。
和西は積山・ギル、嶋川・アグモンを家に呼んだ。
 
「きてくれてありがとね」
和西はジュースをテーブルに置くと積山たちの前に座った。
「?谷川と二ノ宮は?」
「ホークモンとファンビーモンは呼ばないのか?」
嶋川、アグモンがそれぞれ和西に聞いた。
「二ノ宮さんは連絡が取れなかったし谷川さんはあまりこういうときに呼ぶのはやめようと思ったんだ」
和西の返事を聞いて積山は合点した。
「つまり・・・今日の話題はえげつない話、というわけですね?」
「いや・・・、さっき和西と話してたんだけどえげつない、とかそういうわけでもない、というかなんというか」
ゴマモンはもごもごとしゃべった。
和西は突然「あっ」と声を上げた。
「辻鷹くん忘れてた」
 
 
 
嶋川・アグモンが自転車で向かったのはネオデビモンと戦った河川林だった。
そして辻鷹とガブモンが待っていた。
「・・・・ごめんといってたぞ」
和西があやまっていたことを嶋川が伝えた。
「ううん。慣れてるから・・・」
薄い反応で辻鷹が返した。
 
 
「調べてみれば何かわかるかもしれない」
 
 
全員を前にした和西はこう言っていた。
嶋川・アグモンは大きな木が何本も立った場所にくぼみがあった。
「そういえばここに谷川が倒れていて・・・」
嶋川は木によじ登った。
刃物のようなものの跡が残っていた。
「何かいたんだな」
アグモンはそう言うと傷の残った木をたどり始めた。
 
 
和西たちはデビモンがネオデビモンに進化した工場にいた。
積山はネオデビモンが空から攻撃してきた痕を見て、
「これは・・・すごい、としか言いようがないですね」
とつぶやいた。ギルもとなりから覗き込む。
コンクリートの地面に2センチほどの穴があり、それを中心に亀裂が入っていった。
和西は積山をこづついて質問した。
「でも・・・、どうして形が変わったんだろ」
積山は首をひねり、
「ぼくに聞かれても分かりませんよ?ただ・・、デビモンからネオデビモンに変化するのには1体のデビモンがもう1体を吸収して変化した、ということぐらいしか」
と言い、肩をすくめた。
 
 
 
和西は、またみんなを集める、ということ自体を避けていた。現にD-ギャザーにデジモンのデータを解析する機能があることが分かったときも1人1人に電話をかけたのだ。
実際に集まってみるとなにか、心に空いていた穴が埋まっていく気分になれた。
 
 
 
 
研究所の一室、自分の部屋で二ノ宮は寝ていた。徹夜で報告書(A4×15枚もの大作)を仕上げ、若干18歳の体力は限界だった。ファンビーモンは報告書を提出した後ベッドに倒れこんだテイマーを見て考え事をしていた。
 
この組織では戦闘部隊はファンビーモンかコマンドドラモンを゛支給″される。
 
では自分は・・・?
 
自分は・・・二ノ宮が赤ん坊のころを知っている。二ノ宮は生まれた瞬間から対策組織という名の軍隊にいた訳ではない。
では自分は本当のパートナーなのか・・・?
たしかに二ノ宮はD-ユニオンの所持者だった。
そしてある日、D-ユニオンの形が変化した。変化したそれを腕にはめた彼女の手の甲に紋様が現れるのもこの目で見た。
そして二ノ宮は父親にそれを見せた。一緒にいた当時の幹部にも・・・。
結果その場で二ノ宮は拘束され研究対象にされた。母親は自ら娘を研究対象とする父親に失望し、出て行ったらしい。
数年にも及ぶ研究は擬似デジヴァイスの製造を可能にし、同時に二ノ宮の家族を引き裂いた。そして二ノ宮は自分の意思で、15歳の時に最年少で組織に入った。
自分は全て見てきた。そしてなにもしてやれなかった気がする。
ファンビーモンは二ノ宮の長めの髪をなおし、毛布をかけた。
「毛布をかけてあげることぐらいしかできないんじゃ、ダメだ・・・。しっかりしないと・・・」
 
 
 
 
ゴマモンは和西と例の鉄塔に登って街を見ていた。
「ホントいい眺めだねぇ。スルメでももってくればよかったなぁ」
「うん、そうだね」
並んで座っていた。ふいにゴマモンが、
「ゴメンな」
と言った。
「は?なにが?」
和西は思わず聞き返した。
「いや、ここで戦ったときさ、デビモンがネオデビモンに変わったろ?比較にならないぐらい強かった。こう見えてもおれもデジモンだからな。強くなれる気がするんだけど・・・。ただな、はじめて会ったときにおれ約束したよな?痛い目にあわせないって」
和西は直射日光にさらされてぼんやりとしていたが、
「うん、そうだったね。でもいいんじゃないの?たまには」
と言った。ゴマモンはそれを聞くと、
「そうか?・・・そうかもな。たまにはいいか。じゃなきゃテイマーなんかやってられないかもな!・・・でもかならず強くなってやるからな」
そう言って目を細めて笑った。
 


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