デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 2    第2話  「非常」
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2008.06.19 Thu.
和西はいつもとかわりなく、ベットに体を横たえた。
しかし彼のテイマー2日目は普通の人間が体験する日曜日とまったく違うものだった。
 
ゴマモンとともに戦うという約束をしたことを和西は後悔していなかった。
初日からとんでもない凶暴さの狼と戦うハメになったが、
テイマーになったことは後悔していなかった。
 
 
少なくとも今は。
 
 
その日の昼間、和西とゴマモンが早朝に買出しに出かけたその帰り道。
唐突に彼らは襲われる事になった。
 
 
紅い狼が唸りを上げて襲い掛かる。
対するゴマモンは両手の鋭い爪で応戦を続けた。
テイマーは、といえば和西は隅のほうで手元をガチャガチャいわせていた。
「なんで動かない!?」
降流杖は恐るべき頑固さで折りたたみ状態から変化しようとしない。
まさかこの状態で使用する訳ではないだろう・・・・。
 
昨日。
D-ギャザーの次に現れたこれは、画面の説明によれば、彼専用の武器。『降流杖』と呼ばれる。
折りたたまれたそれは開けば薙刀のような形になる。ということだった。
しかし。
「開かない!・・!早くしないとゴマモンが・・・」
和西は視線をゴマモンと手元の間で往復させながらD-ギャザーを起動した。
「どこかに・・・どこかに何か書いてないか・・・?」
和西はボタンを連打してD-ギャザーのプログラムを片端から開けていった。
 
突然、和西の手が止まる。
自分が影に覆われてることに気がついたのだった。
飛びかかる狼を見上げて和西は思わず叫んだ。
直後ゴマモンが左から狼に体当たりをし、一緒に吹き飛ぶ。
そして和西は後ろに倒れる。
彼の呼吸が一段と荒くなった。
 
・・・殺られる・・・・!!
 
倒れこんだ瞬間、降流杖に刻まれた紋様と和西の右手の甲が当たった。
背中を打ちつけた和西のとなりで降流杖がひとりでに開き、薙刀のようなものになった。
長さは2メートルくらいだろうか。
彼がそれに気づいたと同時に狼がゴマモンを振り払い再び飛びかかった。
「うわっ!」
和西はとっさに右手で降流杖を斜め上に薙いだ。
先端の刃が狼の右目をかすり、抉り取る。
狼は叫びをあげしばらくのた打ち回った。
ゴマモンは自分の上に居座った自転車の下でとどめを刺そうと躍起になっていた。
狼はおぼつかない足で立ち上がると和西と目が(言うまでも無く左目が、)あった。
和西は立ち上がり身構える。
 
急に狼は怯えた犬のような声をだし、自分より怯えていた和西を残して手近の屋根によじ昇った。
一度失敗したが狼はそのまま屋根伝いにどこかに行ってしまった。
 
和西はそのままの状態で立っているでけで精一杯だった。
和西は地面に胡座をかいて降流杖の刃の付け根に刻印された紋様に右手を当てた。
あぶなく手をはさまれかけたが思ったとおり折りたたまれる。
どうやら右手の模様に反応して動くらしい。
 
落ち着きが取り戻されてきたのか、和西はD-ギャザーのベルトに何か刻まれていることに気がついた。
見たこともない文字だ。
 
和西はゴマモンを見下ろしていった。
「分かんないことばっかりだね」
そして・・・・
「やっ・・・・やばかった・・・・・・・」
和西の脇の下を嫌な汗が何本も流れていった。
ゴマモンは笑うと、
「おれは自転車のほうが怖かった。つぶれるかと思ったよ」
と言った。


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