そして二ノ宮は目を覚ました。
可愛げのまったく無い冷たいイメージの室内には水槽が目立つ。
昨日、つまり日曜日。
普段なら街へ出かける日だが、その昨日は違った。
「スナイモン、交差点上空を通過しました。第二部隊は直ちに急行してください!」
組織の本部はすでにデビモンの件ですでに『蜂の巣』をつついたような騒ぎだったのだが、最近現れなかったほかの種類のデジモンが現れたのだった。
第二部隊、ファンビーモンを持つテイマーで組まれた対空戦部隊。指揮官は・・・・、
二ノ宮涼美。
「スナイモンといえば数年前被害者を出した記録がありますよね」
ようやく信号から開放されたトラックの中で二ノ宮はハンドルを握る隊員に尋ねた。
30代くらいにみえる彼は、
「そうですね・・・。あぁ、あれか。スナイモンといえば確か2人ほど・・・。凶暴な奴だと聞いたことがありますけどねぇ」
あまり自信なさそうに答えた。
二ノ宮はファンビーモンを抱きしめて言った。
「もう誰も死なせる気はありませんから」
調査課のファンビーモンはスナイモンの後を少しはなれて追う。
しかし凶暴と単細胞とは別物だということを身をもって思い知らされることになる。
ビルの角を悠々と飛び去っていったスナイモンをすぐにファンビーモンが追う。
影からのぞいたファンビーモンの複眼の視界にはスナイモンはいなかった。
「[シャドゥ・シックル]!!」
こうして組織はスナイモンを見失った。
結局組織がスナイモンを見つけたときにはスナイモンは砂になっていた。
中央に立った針金を突いて倒すと二ノ宮は携帯を出して『和西』の番号にかける。
・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「うん、わかりました。はい、・・・・・・・・・・、はい。スナイモンは谷川さんが倒しました」
・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「はい。もう大丈夫です。・・・・・・。でもゴマモンがケガした、とうるさいから明日学校が終わったら診てあげて欲しいんですけど・・・。・・・・・・・・・・・。ありがとうございます。はい。どうも」
和西は電話を切ると部屋に戻った。
「二ノ宮さんだった。スナイモンのことで確認だって」
嶋川は嫌そうな顔をして、
「日曜も仕事か・・・。おれは絶対にそんな仕事には就かない」
と言い、アグモンは笑って言った。
「なんだよそれ。そんなもんか?」
谷川が、どんなこと聞かれたの?、と聞くと和西は、
「いや・・・。二ノ宮さんスナイモンを追いかけてたらしいんだけど見失ったらしくって。それでさっきの所で砂を見つけて、これがスナイモンで倒したのは僕らじゃないか、って思ったらしいよ」
と答えた。それを聞いたギルは冗談交じりに言った。
「別のスナイモンだったらどうするんだ?」
しばらくその場が静かになった。
二ノ宮は携帯電話を閉じると振り返った。
瞬間着信音が響く。こういうタイミングの電話にろくなものがあったためしがない。
18年の二ノ宮の人生では間違いなくそれが事実だった。今回の内容は・・・・。
「涼美か?作戦終了早々すまないがすぐ帰ってくれ」
所長からの電話だった。この時点では二ノ宮にとってろくな内容のものではなかった。
二ノ宮は再び携帯電話をしまうとトラックに向かった。
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