デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 26    第26話 「資格」
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2007.12.31 Mon.
和西は一気に踏み込んだ。
眼が蒼く染まり和西の体がトラックの天井から離れる。
ウィルドエンジェモンは振りおろされた降流杖をふわりとよけると剣を抜き和西に斬りかかった。すでに下降を始めた和西はあぶなくそれをよけトラックの天井にカンッという音を立てて着地する。
「まだ銃使えないんですか!!?」
助手席に座った第1隊長は携帯電話を耳からはなし、
「すまない!!まだここでは発砲するわけにはいかない!もうしばらくがんばってくれ!」
と叫び返すのが聞こえた。
無理も無い。
和西もこんな所で銃を乱射するのはまずいと思った。すぐとなりの筋は人が多い。
和西は少し前を飛ぶウィルドエンジェモンを睨んだ。
 
その上から数十体のファンビーモンが一斉にウィルドエンジェモンに襲い掛かる。甲高い女性特有の悲鳴をあげて剣を抜いたウィルドエンジェモンにファンビーモンの群れが容赦なく攻撃を続ける。
自分を呼ぶ声が聞こえたので振り返った和西とゴマモンは後方にもう一台のトラックを見つけた。トラックの運転席天井に作られた荷物用ラックに長い髪を結い上げて帽子をかぶった谷川が見える。
「やっ!」
それだけ言うと谷川は空気銃を構え撃った。片腕を押さえて飛ぶウィルドエンジェモンの翼2枚に命中し白い羽毛が舞い散る。悲鳴が上がり相手の飛行スピードと高度が落ちた。
「・・・・・・なんか・・・・・いや、だけど・・・」
谷川は足元に飛んできた羽毛を触るとそれは消し飛んだ。
「今攻撃できるのはあたしだけだから!」
そう言ってロッドを引いた。
 
 
積山は嶋川と出くわした。お互いに相手が単独行動をしているのを知って驚いた。
「・・・・・・というわけでデビモンを手当たりしだいに倒してるんですよ」
「・・・・・・というわけで第1部隊を探しているんだが・・・。この辺りで待ってるように言ってたんだがなぁ・・・・・・・」
6階だてほどの建物が立ち並ぶひとけのまったく無い狭い道路の中ほど、十字路で話していた積山・ギル、嶋川・アグモンはふと上を見上げた。ふらふらと時折落ちながら必死で近くの建物の屋上に引っかかったウィルドエンジェモンが見えた。
「ぼくが行ってきます。嶋川さんはあいつが落ちるか飛ぶかしたときのためここにいてください」
そう言うと積山とギルは非常階段の柵を飛び越えてかけ上がり始めた。
 
嶋川の目から積山が小さく見えてきたときに2台のトラックが滑り込んできた。和西と谷川がそれぞれ降りてきた。ゴマモンとホークモンは辺りを見回している。
「きたか・・・。いま積山とギルが上に行った」
「?」
「この上にウィルドエンジェモンがいる!?」
谷川、ゴマモンは嶋川の言っていることの意味を測りかねたようだが、和西は驚いて屋上を見上げた。白い影が屋上に落ちるのが見えた。
 
 
「覚悟・・・・・してもらいますよ」
すこし呼吸が荒い積山はぐったりとしたウィルドエンジェモンに言った。
剣を拾い上げはゆっくりと立ち上がったウィルドエンジェモンはそれを構える。
「人間の実力・・・・、見くびっていたようですね。特にあなたは無視できません」
ウィルドエンジェモンはあっという間に間合いを詰める。
積山は見事に出遅れ、剣の切っ先をぎりぎりでよけた。頬がさけるのを感じる。
 
嶋川さんなら余裕でよけただろうな
 
そんなことが頭をよぎった瞬間、背中をコンクリートに打ち付けた。積山に馬乗りになったウィルドエンジェモンの体温が伝わる。
泣いているのに気づいた。同時にその眼が白目をむいていることにも。
 
 
意識がない・・・・・?
 
振り下ろされた剣に服がコンクリートに縫い付けられる。またもやだめかと思った瞬間ギルが横から飛び掛かる。
ギルはフェンスにウィルドエンジェモンをたたきつけた。が、膝蹴りをうけ飛ばされる。
ギルは剣に当たって積山を自由にした。
「・・くそう」
「開きにならなくて良かったというところじゃないのかい?」
2人の息は完全に上がっていた。
ウィルドエンジェモンも相当なダメージを受けている。
そのとき、たくさんの靴音が響き数十の銃口が火を噴いた。ウィルドエンジェモンは両手の輪を当て、光らせた。
 
 
階段の途中でネオデビモンの応戦をしていた嶋川、和西、アグモン、ゴマモン。デビモンを追い立てていた谷川、二ノ宮、ホークモン、ファンビーモンは屋上が光るのを見た。爆発が起こり、その隙をついてネオデビモンを倒したアグモンは上を見上げた。
 


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