デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 35    第35話 「判断」
For:
2007.12.31 Mon.
どうも雨の日は嫌い。
それが辻鷹の意見だ。彼には嫌いなものが数多くあるが・・・、
「慎、どう思う?」
「どう思う?・・・・。ぼくに聞かれてもな」
積山、辻鷹のチームはなんの異常もなしに館内を巡回して帰ってきた。背中に抱きついている妹を引き剥がしジャンパーを脱ぎながら積山はすこし考えて、
「仁の場合今直面している嫌いなものが一番嫌いなものじゃないのかな。例えば今雨が降ってるけど運動するのより嫌じゃないかい?おなじように運動してるときは雨がふるほうがマシ、ていうのかな」
「はぁ・・。なるほどねぇ」
ガブモンが感心顔でうなずき、
「彩華もタマゴ食うときよりも今雷なってるほうが嫌だもんな」
ギルが再びしがみついている彩華を突きながら言った。
「言われてみればそうなんだけどねぇ。そういえば発電所なんかどうするつもりなんだろうね」
辻鷹はテントの窓から発電所を眺めた。真っ暗なシルエットからは物音1つしない。
「確かに・・・。どうするつもりなのかな。破壊目的ではなさそうだし、嫌がらせ?それとも利用・・・」
積山は考え込んでしまった。
「利用ってなにに?」
「例えば・・・、棲みかにする、とかここで事件を起こして注意をそらす、とかですかねぇ」
辻鷹の質問に積山が答えた。
「すいません」
話し込んでいた辻鷹の後ろから声がした。驚いて振り向いた視界に隊員が立っていた。手に通信機を持っている。
「ついさっき第2小隊から連絡がありました」
「はぁ・・・」
辻鷹は積山と顔を見合わせた。
「どういう連絡ですか?」
「敵デジモンと思われます。林未健助がネオデビモンを撃破したとの連絡がありました」
「よしっ!」
ギルが立ち上がる。
「何がどう“よし”なんだ」
積山が引きずり倒した。
「それでどうなったんです?」
「はい。第2小隊は原子炉に向かってます」
「よし」
辻鷹が口を挟んだ。積山は一瞬意外そうな顔をした。
「積山くんとギルが援護に行きます」
「・・・・・・・・・・・・」
「よし、了解だ」
辻鷹の言葉に積山は無言、ギルは素早く楽しそうに快諾した。
「分かりました。ぼくと仁とギルとガブモンで行きます」
積山が彩華の頭をなでながら言った。
 
 
「・・・と、ここが原子炉とやらか」
「なにいってんの?ゴマモン」
第2小隊・和西高、ゴマモンは物陰から様子を窺った。渋い顔をしたゴマモンの視線の先には普通に原子炉があった。スカルサタモン又はその他の影は無い。
「静かすぎる。なにか怪しい」
林未が腰のベルトから刀を鞘ごと抜いて持った。
「とりあえずここを占拠できれば良いのですな?」
シュリモンが身を縮めて提案した。
「下手に身をさらして攻撃を受けたらどうするんだ?」
ゴマモンが反論した。
「そう、だね。確かにそうだ。リスクが高すぎる・・・・」
和西は原子炉を眺めながら呟いた。
 
 
「死ねィ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!だから嫌だったのに!!」
スカルサタモンが辻鷹とガブモンを追い回す。
積山とギルは2方から同時に攻撃し確実にスカルサタモンをしとめていった。
「どうやら接近戦しか能が無いみたいだな」
ギルが追い掛け回される辻鷹を横目に言った。
「助けて!!」
悲鳴をあげる辻鷹・ガブモン。
「わりぃ、おれホラー系ダメなんだ」
ガブモンが逃げながら謝った。
その瞬間、
メキ・・・・・・
骨がへし折られる嫌な音がして振り向いた辻鷹の目の前に二ノ宮が立っていた。右足が鈍い光沢を放っている。
「仁!援護よろしく!」
二ノ宮は腰から斬鉄の手斧を抜き放つと、強烈な蹴りを打ち込まれ倒れたスカルサタモンに飛び掛った。
「はっ!!」
打ち下ろした手斧は狙いたがわずスカルサタモンの右手に直撃し杖と一緒に吹き飛んだ。
「痛てぇじゃねぇか!!」
スカルサタモンは左手で二ノ宮の体を殴った。が、
金属化した上に受け流した二ノ宮はびくともしない。
「なにぃ!」
そう叫んだときだった。スカルサタモンの胴体が吹き飛んだ。
「[ベアバスター]、メイチュウ、カク、ハカイヲカクニン。デリートヲカンリョウシタ」
絶対に信じられない、という顔で消滅したスカルサタモンの後ろにいた2メートルほどの大きさの蜂型サイボーグが現れた。
「ふぅ・・・」
二ノ宮は一息つくとコートをはたいた。砂がすこし落ちる。断罪の槍を剣状にしてスカルサタモンの胴を薙いだ積山は瞬時にそれをホルダーにしまい二ノ宮に話しかけた。
「二ノ宮さん、どうも」
二ノ宮は軽く頷き、脇でホバリングを続けるパートナーを撫でて言った。
「うん。慎もおつかれだよね。彩華ちゃんはいいの?」
積山は視線をそらし、
「よくは無いですけど・・・。それでも役に立てば、と思ったんだよ」
と答えた。二ノ宮は縮小版の地図を出して指で示した。
「原子炉で落ち合うことになってるから行きましょう」
ファンビーモンの進化したワスプモンを引き連れた二ノ宮は自分の部隊を率いて階段を下りていった。積山・ギルも続く。
辻鷹・ガブモンはあわてて後に続いた。
 


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