デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第一章




 9    第9話  「欠如」
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2007.12.30 Sun.
「上ですね」
積山がつぶやく。
「えっ?」
和西が聞き返す目の前で積山は自分の自転車を強烈に蹴り飛ばし、断罪の槍を構え、後ろに飛んで下がった。
つられた和西が上を見上げるとデビモンが急降下してくる。
「うあわっ!!!」
和西は腰から折りたたんだ降流杖を抜いて構えた。
嶋川も無言でバッグから炎撃刃を引き出す。
虫が散らばるようにさっと離れた和西達の目の前にデビモンがさらに1体降りた。
そして。
 
「ぐぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁっぁっぁぁっぁっぁぁぁあっぁっぁぁっぁぁぁl!!!!!!!!!!!!!!」
 
長い悲鳴をあげ、2番目に降りたデビモンがもう1体を溶かすように吸収していた。
やがて・・・・
 
 
それは1体の悪魔として空を仰いだ。「わ・・・ガッ・・・・名・・は・・ね・・ォ・・・デビ・・・モ・・・・ン」
同様のデジモン=ネオデビモンがもう1体和西とゴマモンに後ろから迫る。
「し・・・・・・・」
新たにもう1体ネオデビモンが現れアグモンを押さえつけた。
「・・・・ネ・・・・」
至近距離で顔をあわせたアグモンにネオデビモンは呻くような音を吐き出す。
「どけよ![ベビーバーナー]!」
高熱にひるみもせず、一瞬で飛び上がったネオデビモンをそれぞれ和西・ゴマモン、嶋川・アグモンが追った。
残った1体に積山・ギルが向かい、進行を妨げる。
「何者だ」
積山の問いにネオデビモンは何の反応も示さない。
荒い呼吸音だけが響く。
ギルが炎を口内に蓄え始めたときだった。
その巨体からは想像もできないような瞬発力でネオデビモンはギルを蹴り飛ばし、同時に右腕で積山の首を狙う。
槍で攻撃を受け流した積山の顔の目の前にネオデビモンの顔が現れた。
「シネ」
積山の目が見開かれる。
 
 
和西は細い道をネオデビモンを追いながら走り抜けた。
ゴマモンが和西の少し前を疾走する。
やがてネオデビモンは管理塔の最上部に飛び上がると機械的に首をひねって和西とゴマモンを見下ろした。
「どうする?」
「のぼるまで!」
ゴマモンが聞き、和西は即答した。
しかし彼が1段目に脚をかけたとき殺気を感じて上を見るとネオデビモンが襲い掛かってくるのが見えた。
辛うじてよけたが、和西は階段を踏み外し転落する。
「うわっ!!」
視線を戻すとネオデビモンの右手が金属製の階段を串刺しにしていた。
「っそ!」
和西は降流杖を振ったがネオデビモンか軽々ととめるとはじき飛ばした。
ネオデビモンは手刀で和西を狙う。
「おわっ!」
再び紙一重でよける。
ゴマモンが応戦しようと飛び掛ったがよけられ、上空に逃げられた。
「くそぉ・・・・。このままじゃやられる・・・。どうすれば・・・・」   
起き上がって上を見上げた和西の目に急降下するネオデビモンが見えた。
 
数分間の時が流れた。
和西とゴマモンはネオデビモンの攻撃をよけることが精一杯だったが、限界が近づいていた。
回転しながら上昇していくネオデビモン。
それを仰向けで見上げる和西の息は荒い。
耳の脇を血が流れ、それを新たな水滴が流した。
雨が降り出した。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・うっ・・・・」
呻く和西はゆっくりと体を起こし、目線をあげた。
ネオデビモンが容赦なく襲い掛かるのが見えた。
 
 
「ギャアアアアァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・!!!!!!」
 
 
細い作業道を走り抜ける嶋川は立ち止まり顔を上げた。
鉛色の空は大量の水を降らせている。
「・・・・・まさか・・・・な」
嶋川の顔が引きつる。
「あのバカ野朗。・・・・やられたなんていいやがったら・・・・・・」
歯を食いしばる嶋川の両頬を新しく水が流れた。
そのときドゥム!という音が響き5メートルほど先のあたりのコンクリートが砕けた。
「お前がバカだ!よけろ!!」
アグモンが嶋川を蹴り飛ばし物陰に押し込んだ。
「なんだ?ネオデビモン?」
そのとき嶋川の頭上を金網の通路を走りぬける音がした。
「和西とゴマモンの次はオレ達か!!?」
嶋川はわめき、炎撃刃を抜くと真上に振った。
雨粒を蒸発させながら金網は真っ二つになった。
「おそいおそい!そんなんじゃ・・・、落とせないよっ!」
よく通る声が嶋川の後ろでした。
 


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