デジタルモンスター
エターナル・ログ・ストーリー

第二章



 14    No−14「I forgot myself in anger」
更新日時:
2008.01.26 Sat.
クレシェモンとリリモンのタッグがデーモンを翻弄し続ける。
圧倒的なスピード差で炎や火柱をかわし、クレシェモンはデーモンの正面に躍り出た。
ゆれるような微妙な動きで悟られる事無く間合いを詰め、両腕の武器を振り上げた。
デーモンの目がつりあがる。
クレシェモンは息をつめ、両腕を振り下ろした。
「[ルナティックダンス]!」
渾身の力で振り下ろした独特の形状をした武器を見上げ、デーモンは唸った。
「お前のような小娘がこの我輩を倒すだと・・・?おこがましいにも程がある」
片手で受け止められた必殺技を見て、一瞬呆気にとられたクレシェモンは両腕に力をこめて押した。
金属がゆがみ、きしむ音が長く響く。
「くっ・・・・!・・・ンッ!」
微動だしないそれをクレシェモンは決して離しはしなかった、が、逆に自分が押されつつある事を認めざるをえなくなった。
「・・・!」
圧倒的な力で押さえ込まれる寸前で耐えるクレシェモンの身体が限界に達し、振動し始める。
「[フラウ・カノン]!」
正確につけられた狙い通り、エネルギー弾がデーモンの側頭部に直撃、爆裂した。
デーモンが煙の奥からリリモンをにらみつけた瞬間、クレシェモンは両腕の武器を捨て全力で離脱し、リリモンのとなりに着地する。
「危なかったですね」
「うん。そーとー強いな・・・。あれでリアライズが不完全だっていうじゃないか」
真上にいるシンドゥーラモンを見上げたリリモンは嫌でも視線を戻さなければならなかった。
「ええ。倒すなんてとても・・・・」
かすかにデーモンの口が歪むのが見える。
飛び立ち、大きく火炎弾をよけながらリリモンは熱さに声を詰まらせながら叫んだ。
「こちらがやられないようにするのが精一杯で・・・!!」
第2撃、第3撃を連続してよけたとき、リリモンの横にシンドゥーラモンが近づいて口を開いた。
「近距離は危ないんじゃないか?やはり遠距離から追い詰めて行こう」
リリモンは斜め下の敵から一瞬も目をそらさない。
ただ、シンドゥーラモンの言葉には素直に同意した。
「私もそう思います。 [フラウ・カノン]!」
2体のやりとりを聞いていたクレシェモンは驚いてシンドゥーラモンに飛び乗った。
「ちょっと待ってよ。あたしはどうなるんだい?武器あいつに壊されたじゃない」
「適当に後ろの方にいてください」
「はぁ?ちょっと待ちなさいよ。あたしだって戦えるだけの力は持ってるんだよ?」
耳元で大声を出してまくし立てるクレシェモンを振り返り、シンドゥーラモンは口調を荒らげた。
「無意味に危険な目に会わないでください!ぼくは誰にも死んで欲しくない!」
予想外の口調にクレシェモンは一瞬で黙った。
「・・・分かったわよ。そっちこそちゃんと戻ってきなさいよね」
デーモンを牽制しながら黙ってやり取りを聞いていたリリモンは初めてデーモンから視線を放した。
「ええ、もちろんです」
絶対に大丈夫、とでも言っているような笑顔をクレシェモンに見せた。
 
 
苛立ちが募りつつあるデーモンはすこしずつリアライズが進む自分の身体を見下ろして奥歯を噛み締めた。
『無理だ。我々ほどの容量がリアライズすることは容易ではない。たとえリアライズできたとしてもなんらかの制約がかかるだろう・・・』
ルーチェモンの声が脳裏に響く。
「あの若造め・・・!!」
デーモンは砕けた奥歯のかけらを吐き捨て、赤い眼でリリモンを睨みつけた。
「今に見ておれ・・・・!あの小娘が!八つ裂きにしてくれる・・・!!」
 
そんなデーモンの様子を一体のデジモンが双眼鏡で覗いていた。
「敵確認ッ!」
となりで白衣姿の二ノ宮が軽くその脚を叩く。
「了解、撃っていいぞ!」
ハグルモンが進化したプテラノモンがさらに進化して到達したデジモン・アサルトモンが背中からサブマシンガンを下ろした。
比較的大きな音を出して初弾を装填する。安全装置を確認して、あわててそれを解除し、腰の位置でかまえる。
「[サプライズアタック]、開始!」
アサルトモンは4本ある脚で踏み込み、両肩のバズーカを連射しながら飛び出していった。
同時に二ノ宮は足元のパソコンを脇に抱え、急ぎ足で次の地点に先回りする。
 
デーモンは飛び出してくるまでアサルトモンに気づかなかった。
つまり、それ相応に煮詰まっていたのだ。
バズーカの流れ弾を軽く弾き返し、全力で間合いをつめた。
「来た・・!照準ヨシッ!装填ヨシッ!てー!!」
サブマシンガンを撃つ。
シンドゥーラモンの電撃にも相当する威力の炸裂弾がピンポイントでデーモンの顔面に直撃。
アサルトモンは直撃を確認すると同時に薬きょうをマシンガンから吐き出し、その手で次弾を装填した。
出来る限り連続で撃ち続け、間合いが10メートルに縮まったとき、アサルトモンはマシンガンのグリップをはさんで握っていたものを投げつけ、同時に後ろに飛びのいた。
甲高い音が響き、手榴弾のピンが飛び、デーモンの腹部に当たった。
アサルトモンが全速力で20メートルほどデーモンとの間隔を広げたとき、デーモンの眼下で特殊手榴弾が炸裂した。
 
 


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